2014年10月18日(土)、明治神宮外苑・絵画館のサロンで口演「浪曲&笑いと涙」が実施されました。当日は大きな被害をもたらしたスーパー台風が過ぎ去った後の真っ青な快晴の中で行われました。
口演の前に、絵画館の計らいで副館長の藤井氏が参加者のために特別にガイドツアーをして下さいました。

聖徳記念絵画館(正式名称)は、明治天皇と昭憲皇太后の御聖徳を永く後世に伝えるために造営された、神宮外苑のシンボルともいえる存在です。
花岡岩表装の重厚な概観と、中央ドーム、画室の採光などに先駆的な技術が取り入れられており、日本の建築技術の発展を知る上でも、重要な建造物です。平成23年(2011年)6月に、日本最初期の鉄筋コンンクリート造りの美術館建築として国の重要文化財に指定されました。
館内には御二方の御在世中の御事績を伝える80枚の大壁画(縦3m、横2.5〜2.7m)が画題の年代順に展示されており、当時の出来事を時代を追って見ることが出来ます。
今年、世界遺産に登録された群馬県の富岡製糸場を、明治6年6月24日(1873年)に見学された皇后が工場を視察される絵。
絵画館の特別解説ツアーの後、浪曲師・玉川奈々福氏と曲師・沢村豊子氏(三味線)による「浪曲&笑いと涙」のお話しと口演が、絵画館・サロンで行われました。

浪曲口演は「仙台の鬼夫婦」。仙台伊達藩六十二万石の家老職で、三千石・砂子三十郎の一人娘・お貞の物語です。
お貞は仙台一の美人で器量良し。この素晴らしい女性は何と、無役で七百石しか持たない仙台一の放蕩者・井伊直人に心を奪われてしまったのです。親の反対を押し切り、押しかけるようにして結婚したお貞。愛する亭主を、 愛情とウィット、鞭と飴で、世に名を残す見事な男にたたき上げていきます。

口演の前に、奈々福氏は特別に日本の語り芸の歴史と、浪曲の発展と現在について講義をしてくれました。
日本は世界でも類を見ない、語り芸の多い国だそうです。この国の風土に育まれた人々の感性、感受性が、言葉とリズム、また、音楽とともに表現されてきた素晴らしい遺産が、本日の浪曲口演に凝縮されていることに皆、感じ入っておりました。

友情の架け橋・文化講演では、日本の語り芸を応援しております。
浪曲のみならず、落語や講談など、参加者の皆様から是非取り上げて欲しい方々の推薦を頂戴しています。
一緒に学び、一緒に楽しみたい、という方の推薦をいつでも受け付けておりますので、遠慮なくご提案下さい。